アカネサス

”大人でも子供でもない”
19歳ならではの感情をストレートに表現するガールズバンド
──まず、アカネサスというバンド名の意味と由来を教えて下さい。
百華:私がアカネサスというバンド名を考えました。私たち、高校の軽音部から発足していて、3年生の先輩バンドが“愛ヲ菓子”、2年生が“カミヒトエ”だったんです。日本っぽい5文字の名前が続いてたので、私たちもそういうバンド名がいいなぁと思って。
愛:うんうん。
百華:放課後、そろそろバンド名を考えないといけないってなって、梨代菜は帰っちゃってて後日報告で。その時にポンポン名前を出してて、“アカネサス”って言った瞬間に「それやっ!」ってなって。
愛:顧問がね。
百華:そう。自分たちは全然しっくりこなかったんですけど、アカネサスになりました。あ、今はちゃんとしっくりきてます(笑)。
──高校の軽音楽部で結成されたそうですが、どのような経緯でこの3人になったのですか?
愛:私たちが行ってた学校は全校生徒が60人とかで、軽音部に入ったのがこの3人だったんですよ。で、もうこの3人でバンド組むしかないってなって。
百華:他にいないから(笑)。
──なるほど(笑)。高知県の四万十町出身だとお聞きしました。どんな町でしたか?
百華:四万十町は……自然豊かですね。
愛:東京にも田舎があるみたいに言いますけど全然違う。
百華:うん。全然違う! ジブリの世界みたいな!
愛:トトロみたいな感じです、本当に! 全員が知り合いみたいな感じですね。
百華:隣人の顔を知らないとかありえないもんね。
愛:ないよ絶対(笑)。あと、ごはんが美味しいです!
梨代菜:本当に美味しい!
──高校を卒業してからも音楽を続けていこうと思ったきっかけはありますか?
愛:一番大きいのは……レーベルとかから話がきて、そういう可能性もあるんだ!? みたいな。東京に出てもやっていける力が、周りから見てもあるんだと思った時に、挑戦してみたいなと思ったのが大きいです。
──バンドを続けていく以外に、こういう職業に就きたいなっていうのはありましたか?
百華:私はめっちゃありました。看護師になるつもりだった。
──すごい!
梨代菜:やりたかったこと……特になかったです。
愛:私もなかったです、働きたくないので。
一同:(笑)。
愛:音楽が好きだったので、バンドをやれるなら絶対にやりたいと思ってて。
──では、憧れだったりリスペクトしているアーティストを教えていただきたいです。
百華:昔は先輩バンドをめっちゃリスペクトしてて。それは多分、3人とも一緒だよね?
愛:うん。
百華:今は、言うの恥ずかしい(笑)。
愛:なんでよ(笑)。失礼よ、それ。
百華:え〜、My Hair is Badです。マイヘアも高校からバンドを始めて、大成功してるので。ちょっと似てるなぁ〜って勝手に思って、リスペクトしてます。お恥ずかしい……。
愛:私はOfficial髭男dismが好きで、藤原聡さんをめっちゃリスペクトしてます。
梨代菜:私は、anewhiteというバンドをリスペクトしてます!
──昨年450人の前で卒業ライブを行い、今年の春はシングルリリースにあたって凱旋ライブをされたそうですね。地元でのライブと東京のライブはどう違いますか?
愛:地元は、知ってる人が沢山いる。
百華:確かに! 年齢層が高いよね。
愛:うん、高い! おじいちゃんおばあちゃんがいっぱいいて。拳は上がらないけど(笑)。
百華:でも上げてくれてたよ!
愛:上げてくれる人もいたけど、おじいちゃんおばあちゃんっぽい手拍子みたいな、それがかわいい(笑)。
百華:しかもライブ終わった後に言われる言葉が、「本当に生きる力になったよ」みたいな感じなので。
愛:長生きさせてるよね(笑)。やっぱり地元のバンドなので、めちゃくちゃ愛は感じます! 見てくれる目が優しい。しかもワンマンで目当てがアカネサスしかいないので、曲も知ってくれてるし楽しいです!
──心があたたまるライブだったんですね!
愛:ほんとにそう!
──4月の大塚MEETSでのライブを観に行きました! 私自身ライブハウスに行くのが初めてで……アカネサスが初めて見るバンドだったので、大人でも子どもでもない19歳ならではの歌詞やパフォーマンスが胸に刺さりました!
一同:ありがとうございます!
──高校生の頃と今のライブパフォーマンスで、ここが変わったなと思うことを教えてください!
愛:高校生の時は、持ち時間10分で2曲しか演奏できないことが多くて。1曲ごとに演奏を止めてMCを入れたりしていたので、パフォーマンスに対してのこだわりはあまりありませんでした。東京に来て、曲繋ぎっていうものを知って、やるようになりました。
百華:私はあれだな……恥ずかしいっていう感情を捨てました!
愛:振り切った?
百華:うん、演奏に振り切った感じ。やっぱり高校生の頃は可愛くいたいじゃないですか? でも動画を見てみると、無表情も良くないなと思って。だから今は敢えてすごい顔で叩いてる時があります。そのほうが味があって良いなってライブを見てて思いますし。
──梨代菜さんはどうですか?
梨代菜:変わったこと……。
愛:めっちゃ動くようになって、ステージも使うようになったんじゃない? あっ、お客さんを湧かせるようになったよね!?
梨代菜:そのイメージが自分にない(笑)。
百華:ステージ上で一番お客さんを湧かせてるのは君だよ!
梨代菜:みたいです(笑)。
──上京してパワーアップしたということですね! 私たちと同い年(19歳)だと思うのですが、高校生時代はコロナ禍でどういった活動を続けていましたか?
百華:結構、作曲に振ってなかった?
愛:それもあるね。曲作りとSNSを頑張ってました。
百華:部活が出来ない時もあったよね? 学校に来ちゃいけないみたいな。
愛:うんうん。窓開けてなら出来るようになった時期があったんですけど、音がうるさいじゃないですか(笑)。だから、めっちゃ怒られてました。
百華:うちの高校は田舎すぎて、ちゃんとした部活が軽音部しかなくって。その唯一の部活まで潰すんか! って思ってました(笑)。

──次に楽曲についてお聞きします。最新リリース曲「今、私は19歳」は、どのような想いで制作しましたか?
愛:どんなテーマで作ろうか考えた時に、19歳って、成人はしてるけどお酒が飲めなかったりタバコが吸えないとか、しがらみが結構難しい状況だなって思って……。19歳ってこの世に沢山いるし、複雑な想いを抱えてる人が多いんじゃないかと思って、そういうテーマでまず書き始めました。「大人になりたくない」とか「バイト行きたくない!」って曲もあるし、多感な時期……とか言ってもいいのかなぁ(笑)。大学に行き始めたり仕事を始めたりで環境が変わって、大変な時期だからこそ、そういうところに目を向けて。
──なるほど。EPの中の「ありがとう」という曲は3人で作詞作曲されたそうですね。他の曲は、まず愛さんが歌詞を書いて、みなさんでメロディーなどを作っていくのでしょうか?
愛:そうですね。弾き語りで作って、セッションみたいな感じでスタジオで合わせる感じです。
──「ありがとう」はどのような流れで作曲されたんですか?
百華:レコーディング中やったっけ? 本当は5曲で出そうってなっていたんですけど、もう1曲欲しいって言われて。
愛:うん。なんか感謝の曲欲しいよね! ってなりました。
百華:お母さんありがとう、とか思うし。
愛:上京してこっちの生活に慣れてきて、やっぱり親ってすごいな〜とか、感謝の気持ちが大きかったので。3人で書きたいってなって、歌詞を集めました。
──アカネサスさんの曲は、歌詞の風景描写がすごく綺麗で印象に残ります。
愛:嬉しい!
──歌詞は愛さんの実体験が元になっているんですか?
愛:それが多いです。
──そうなんですね。失恋の様子が描かれている、「0927」とかも……?
愛:「0927」は結構作ってますね。結構っていうか全部? 物語から決めた感じがあるよね……?
百華:3人で妄想したよね。テーマを決めて。
愛:最初はAメロだけあったんですね。結構エモい感じのメロディだったので、難しかったです。でもその曲を完成させたいってなった時に、3人でこういう感じがいいかな〜って妄想して作りました。
──「0927」という数字にはどんな意味があるのでしょうか?
愛:あの曲は男の子が主人公なんですけど、その男の子が好きな女の子のイメージが9月後半っぽいよねってなって。タイトルにするなら「9月○日」とかよりも数字だけのほうがいいかなと思って、響きがいいものを選びました。
──たしかに「0927」って言いやすいですね。楽曲を制作する際に意識していることや欠かさないようにしていることはありますか?
愛:一番は、自分達が楽しく演奏できるっていうところなんですけど……なんだろうね。
百華:私はパフォーマンスのことも考えながらフレーズを考えたりしてます。
愛:ノリやすいとか! しんみりしたバンドじゃないのでキメとかは意識していて、身体が動かしやすいリズムにはなってると思います。
──お客さんと一緒に楽しめるということを大事に考えているんですね。
愛:そうですね! 手が上がりやすいとかね。サビは盛り上げたいですし。
──ライブの時、お客さんの拳が一気に上がる感じがすごくカッコよかったです!
百華:ありがとうございます!
──次にみなさんの人柄を読者に伝えたいので、それぞれの性格を他のおふたりで紹介していただきたいです! まずは梨代菜さんについて、百華さんと愛さん教えてください。
愛:優しい! めっちゃ優しいです。
百華:努力家。
愛:うん。コツコツ頑張るタイプで。
百華:面倒見がいい。
愛:あ〜もう、めちゃくちゃ面倒見良いです! めちゃくちゃ優しくて、めちゃくちゃ面倒見良いですね。
百華:なんか、シャイ?
愛:あ〜、仲良くなったらめっちゃ喋る感じです。バンドで出た時に、ベースの子はそんなに喋らない子? って言われるけど、私たちからしたらめっちゃ喋るんで、そんなことないけどね〜? みたいな。仲良くなったらめっちゃ喋るタイプです(笑)。
──次は愛さんについて、梨代菜さんと百華さんからお願いします。
百華:愛か〜、とにかく何もしたくない(笑)。
梨代菜:確かに。
百華:面倒くさがりだね?
愛:そう。本当に動きたくない……。
百華:でも優しい愛も。優しいし、めっちゃ笑う。
愛:ゲラだね。
梨代菜:ちょっと怖がりの、ちょっと甘えん坊。
百華:虫とかね。
愛:あ〜虫めっちゃ嫌いですね!
百華:かっこいいような、女の子らしいような、女の子。
一同:(笑)
百華:ほら笑うでしょ? 笑い方めっちゃ好き!
──次は百華さんについて、愛さんと梨代菜さん教えてください。
愛:ホテルとか取るの上手い(笑)。今年は遠征がめっちゃ多くて。バスとか飛行機の予約とか、めっちゃやってくれて助かってるんですよね。あと、ものすごく慎重。服を買う時もいろんなサイト見て、絶対に自分に合ったやつを買うみたいな。買い物で失敗したことあんまり無いよね?
百華:無いね。
愛:あと研究家! 自分のことはすっごい、誰よりも分かってる。
梨代菜:誰とでもすぐ仲良くなる!
愛:高校生の時から社交性があったよね。一番女の子って感じですね。見た通り。
──みなさんの素敵な関係性ありがとうございます! 今年で20歳になられますが、10代最後にしたいことや、20歳になったらやってみたいことはありますか?
愛:考えたことなかった……20歳になったらやりたいことは、お酒をめっちゃ飲みたいです。
百華:バーとか行ってみたい! オシャレなバーとか。あ〜あとは、勉強したいかもしれない。
愛:逆にね。
百華:梨代菜ある?
梨代菜:無いかなあ……。
百華:言い切っちゃったあ(笑)。
──では、今後のバンド活動について聞かせてください。まず、バンドとしてと個人として、それぞれ目標を教えてください。
愛:バンドとしては、東京でワンマンライブが出来るようになりたいですね。
百華:バンドとして?
愛:私個人ですね。バンドとしては、やっぱり若いお客さん欲しいよね……。
百華:欲しいっていうか、聴いてほしい。
愛:いつも近い目標ばかりたてるんで、一番遠いとか言えば、武道館に立ちたいとかありますね。好きなバンドが立ってるところだし、バンドといえば武道館みたいなのあるし。
梨代菜:私はたまに言うけど、自分の好きなバンド……anewhiteとかと対バンしたいです!
百華:”ドラマーといえば百華”ってなりたい。女性ドラマーといえば百華でしょ、みたいな。

──最後に、同世代の読者にメッセージをお願いします!
百華:人生、楽しい時もあれば苦しい時もあるし、悲しいこともあるし辛いことの方が多いかもしれないけど。……私もこの前までちょっとしんどかったけど、いま元気になりました! だからちょっと耐えてみて! って言いたい。私たちの曲を聴いて頑張ってください!
愛:アカネサスの曲は「大人になりたくない」とか「バイト行きたくない!」とか、やりたくない系の曲が多いので、負の感情の時に一番聴いて欲しいなって思います!
梨代菜:自分のその時の気持ちに合った曲、負の感情の時には「孤独」とか聞いてほしい……。
愛:タイトルで分かりやすいもんね。
梨代菜:自分の気持ちにあった曲をその時に聴いて、元気になって欲しいです!
撮影:栁澤智哉
インタビュー&ライティング:大谷鈴、荒山いずみ
Profile
高知県四万十町発、愛(Vo & G)、梨代菜(B)、百華(Dr)によるガールズロックバンド。この8月末、ベース梨代菜の脱退が発表された。高校の軽音楽部から発足し、2021年11月に開催された「MUSIC DAYS 2021」バンド部門ではグランプリを獲得。高校卒業後はプロデビューを目指し上京。現在は都内のライブハウスで勢力的に活動している。
Instagram akanesasu_bussas
Release information

1st EP「今、私は19歳」 NOW ON SALE
CD / NCS-10277 / ¥1650(税込)
(タワーレコード限定発売)
Live information
・2023.9.5 @大阪 北堀江club vijon
・2023.9.9@東京 吉祥寺ROCK JOINT GB
・2023.9.17 @東京 下北沢(全20会場行き来自由)
・2023.9.21@東京 府中Flight
・2023.10.14 @東京 下北沢(近松/MOSAIC/LIVE HORIC/SHEL TER/WAVER 全5会場行き来自由)
・2023.12.2 @東京 下北沢(11会場行き来自由)
※詳細は公式Instagramをご覧下さい。
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