Interview

Tele

2023/04/01

始動1年にして8枚目のシングルをリリース。

谷口喜多朗が作り出す、±0の音楽とは?


——Teleというアーティスト名の由来を教えてください。

Tele:元々スリーピースのバンドをやっていて、そのときにつけた名前なんですけど、あんまり深い意味はなくて。

——Teleというワードをパっと思いついたんですか?

Tele:テレキャスターってギターあるじゃないですか? レオ・フェンダーがストラトキャスターの次に「テレビが流行っているからテレを取ってテレキャスターだろ」っていう風につけてて。その安直な理由が好きで、それに則って僕も安直につけたんです。

——そのテレだったんですね!

Tele:特に意味はなかったけど、最近、意味が出てきたなって感じですね。

——では、“Tele=谷口喜多朗ソロプロジェクト”という形で音楽活動を続けようと思ったのは、なぜでしょうか?

Tele:Teleって名前をつけたのに何も残さずに終わっちゃうのは、ちょっとむなしいっていうのと、シンガーソングライターという捉え方をされると、やることの幅が狭くなっちゃうというか。だから芸名でやるわけでもなく、かといってバンドでもないっていう。

——絶妙な立ち位置ですね。

Tele:どっちつかずの状態が割と好きなので、その意味でもTeleという名前でやることは、自然だったのかなっていう風に思います。

——これまではどんな音楽を聴かれてきましたか?

Tele:ホントに雑多に聴いてきたっていう感じです。ちっちゃい頃から基本ラジオが流れてて、ジャンルに限らずいろんな音楽が。そのとき聴いたものが、後々になって、答え合わせみたいに影響されてるんだなって思うことはありますね。

——続いて、新譜「鯨の子」についてお伺いします。“鯨飲”という言葉からヒントを得ているとのことでしたが、なぜこの言葉が?

Tele:鯨飲……とにかく酒を飲むからじゃないですか(笑)。まあそれとは関係なく元々鯨が好きだし。

——そんなに飲まれるのですか(笑)。

Tele:友達とべろべろに酔っぱらって上野公園を歩いてたら、鯨(のオブジェ)があって。それで“鯨飲”って言葉がバって出てきた。「わー、すごい飲んでるなぁ俺たち。飲まれてるし飲んでるなぁ」みたいな気持ちになってはいました(笑)。

——曲をはじめて聴いたとき、冒頭の“フレンズ”に問いかける歌詞が印象的でした。このフレンズにはモデルがいるのですか?

Tele:そうですね。高校のときから仲いい奴がいて。なんか……んー、飲み歩いたりとかしてたんですけど、(彼の)就活が始まって一回飲むのを我慢しようみたいな時期があって。そんな頃にたまたま用があって都内に来てた彼と、風呂に行ったんですよ。

——お風呂屋さんですか!?

Tele:はい、銭湯に行って。いつもなら飲みに行こうってなるんですけど、そうもいかないよねって言って、缶ビールだけ飲んで帰った日があって……。そんとき、バーって歌詞が出てきて書いたみたいのがあって。

——その夜のことを思って書いたということですか?

Tele:元となる感情っていうか、色んなモチベーションみたいなものが生まれて書きました。彼がフレンズ……んー、具体的に彼に歌ってるかっていうと、そういうわけではないかな。

——そのときの感情を書いたという感じなんですね。

Tele:具体的に誰に対してではなく、フレンズっていう対象は、もしかしたら自分自身かもしれないし、それは家族なのかもしれないけど、なんかあると思っているというか……。

——では、楽曲面でのこだわりを教えてください。

Tele:曲を作る上で、プラスとマイナスを意識してるというか。なんていうか、常に0の状態にしようっていうのがテーマにあって。

——0の状態?

Tele:言葉の上でも、起こってる事象としてはおんなじなんだけど、起きてることが持ってる両面性みたいなものがあって。それを片側だけ書くことはしないようにしようというか。だから、そういった意味で、そのプラス・マイナスっていうことを意識して。

——プラスとマイナスの話について詳しくお聞きしたいのですが、それは、これまでの楽曲でも意識されていたのでしょうか?

Tele:なんか、考えざるを得ないじゃないですか? ここに向かって目指すみたいなゴールがあったら、自分の現在地がどこで、どれだけ遠いのかって考えちゃうし。

——そう考えてみると、他の曲でも0の状態を感じる気がします。

Tele:他の曲でそういう印象があるとしたら、それは、必然性があったのかなって思うし。ただ「鯨の子」に関しては、必然的であたりまえなことを意識して書こうとしたなっていう意味ですかね。

——作曲はどうでしたか?

Tele:最初に弾き語りで作ったんですけど、その段階からすでに、声を重ねてって最後は大人数でっていう風なイメージはあったので。最初はものすごく静かに始めようっていうか。

——Teleさんの声がとても印象に残る始まり方ですよね!

Tele:ありがとうございます。音の間の空白みたいなものも、ちゃんと意識して作れたらいいなっていうのがあって。音を一音一音、丁寧に作っていくっていうことをすごく考えて作りました。

——最近は声出しOKのライブが増えてきましたし、2月に行われたセカンドワンマンでは、みんなで歌う場面も見受けられましたね。楽曲制作時に、ライブについても考えましたか?

Tele:元々、声を重ねることに対して、ちょっとしたフェティシズムに近い何かを持ってるっていうのはあると思うんですけど。

——そうなんですね。では声出しは「鯨の子」に限らず。

Tele:みんなで歌えたらいいなって曲は、今までの全部がそうなんですけど、タイミングとこの曲の持ってる意味も含めて、一緒に歌えたら嬉しいなっていう気持ちがあります。

——Teleとしてソロ活動し始めたときは既にコロナ禍でしたが、声出しも含め、どのように音楽活動と向き合っていましたか?

Tele:僕が動き出したのって2021年なんですけど、2020年を生き抜いたアーティストの方が沢山いるので。それを参考にしたっていうのはかなりあるし……。

——たしかに……。

Tele:声を出せなかった時期にある世の中っていうか、ライブシーンというものをリハビリしていく過程で、どれだけ自分が貢献できるんだろうかっていうことは、考えていることなのかなと思います。

——最後に、今後やりたいこと、目標や野望を聞かせてください。

Tele:とにかく曲を出していかないといけない時期なのかなって、自分では思ってるので。今年はライブとか制作も含めて、タフな人間になれるための修行の一年なのかなと。そこに向けて、頑張れたらいいなっていう。

——具体的にはどんなことをしたいですか?

Tele:一つひとつのライブで、お客さんのことを楽しませたいと思うし、同時に、自分も楽しめたらいいなっていう風にも。制作に関しても、アルバムを作ってく中で、関わってくれてるミュージシャンやエンジニアの人達が楽しんでくれる部分がちゃんと生まれて、それがお客さんにしっかり伝わったらいいなって思ってます。

(インタビュー&ライティング:中間あかね・元生真由)

Profile

谷口喜多朗によるソロプロジェクト。作詞・作曲・編曲の全てを行う。2022年1月にデジタルリリースされた「バースデイ」で活動開始。以降7枚のシングルをリリース。同年6月には1stアルバム『NEW BORN GHOST』を発売。11月に東京キネマ倶楽部にて初ワンマン『東京宣言』、2023年2月には東阪でワンマンライブ『nai ma ze』を開催。秋にはワンマンツアー『祝 / 呪(シュクジュ)』の開催を発表。2023年、Spotifyが新進アーティストをピックアップするセレクション『RADAR:Early Noise 2023』に選出され、さらなる飛躍が期待される。

WebSite  https://tele.jp.net/

Twitter @KitrTele

Release Information

8th Digital Single「鯨の子」

8th Digital Single

「鯨の子」 NOW ON SALE

※単曲配信/

サブスクリプションサービス・ダウンロードサービス

Live  Information

若者のすべて #04

2023.4.2 @ 東京 日比谷野外音楽堂

ARABAKI ROCK FEST.23

2023.4.29 @ 宮城 みちのく公園北地区

VIVA LA ROCK 2023

2023.5.3 @ 埼玉 さいたまスーパーアリーナ

JAPAN JAM 2023

2023.5.4 @ 千葉 千葉市蘇我スポーツ公園

#FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-

2023.5.7 @ 大阪 大阪城音楽堂

※詳細は公式Web Siteをご覧ください。