MOSHIMO

2025年12月23日のツアー最終公演をもって、無期限のライブ活動休止を発表した4人組ロックバンドMOSHIMOのボーカル岩淵紗貴さんにお話を伺いました。
──MOSHIMOのライブ活動休止前、12月23日のラストライブに向けてのお気持ちをお聞かせください
岩淵紗貴(以下、岩淵):ネガティブとか悲しい気持ちより、「ありがとう!ライブ活動一旦ストップするけど、またどっかで会いましょう」という前向きな気持ちですね。人生は波だと思っていて一旦休憩するタイミングなのかなと思っています。私の結婚が大きな要因となったけど、結婚も人生のひとつの通過点、羽休めして見つめ直す期間というのが自分の中で大きいです。実は、2026年もこれまで通り活動する予定だったんですよ。地元福岡で『MOSHIFES』を開催するつもりでZeppを仮押さえをしてましたし。11月5日にリリースしたアルバム『proof』も活動休止することを決めていない状態で制作に入ったんです。
──ライブ活動休止に岩淵さんの結婚が関係あるというのはどういうことですか?
岩淵:MOSHIMOはライブが軸のバンドで、失恋曲や上手くいかない不甲斐ない気持ちを面白おかしく歌ってポジティブに変えていくというのが大きなコンセプトのひとつなんです。結婚するって決めたときに、30~45分くらいの短いイベントだったら、イベントの内容を織り交ぜて「最近こんな事があったんだよ」ってできると思うんですが、1時間半~2時間のワンマンライブやツアーで、これまでのMOSHIMOのマインドを100%で出せないなって思ったんです。表面上はニコニコは出来たとしても、ライブって熱量的なのが絶対に伝わるんですよ、何も考えてないめちゃくちゃアホな瞬間がちゃんと作れないっていうのは自分の中でMOSHIMOのライブにとって致命傷だなって思って。だったら1回ライブの足を止めようと思いました。結婚するけど、超揉めるかもしれないし、そうなった時に「おいおい揉めちゃったよ(笑)」って言って戻って来るのもありだなって思ってるし、そういうことを経験してこれまでと変わらないMOSHIMOと変わったMOSHIMOが融合できるようになったら、ライブに戻って来たいなって思っています。
──歌うマインドの部分なんですね。では、11月リリースの『proof』に、2016年リリースのライブ定番曲「命短し恋せよ乙女」を収録した理由を教えてください
岩淵:これは活動休止とは関係なく、結成10周年でこれまで再録したこともないし入れようとなったんです。「命短し恋せよ乙女」は、MOSHIMOがいろんな人に聴いてもらえるようになったタイミングの楽曲で、初期のMOSHIMOの音作りのスタイルや歌声の音源なんです。10年経って、「命短し恋せよ乙女」や初期の頃の「猫かぶる」や「触らぬキミに祟りなし」の音源を聴いても今のライブがイメージできない人がいることを感じていて。「全然違うじゃん」「声も違うね」と言われることがあったんです。だったら、ライブにより近い音源を作ろうと思って。正直、私はリアレンジした再録はあまり好きじゃないんです。リアレンジ曲って「なんか違った」とか、「このアレンジ嫌だった」とか否定的な意見のほうが基本多くでるじゃないですか。だけど、人気曲は何回も歌うし世の中に多く出ていくから、演奏する側からすると違うテイストも入れたいしこういう感じに歌いたいんだよって気持ちもあるんです。だけど、その気持ちってアーティストのエゴじゃないかなって思うこともあって。ただ、今回はそれを超えて、今のライブがイメージできる、今のスタイルの「命短し恋せよ乙女」を再録しました。
──再録はどんな風に行ったんですか?
岩淵:今回の「命短し恋せよ乙女」は大きくアレンジを変えず、今の音でせーの録りをしました。ライブらしさを表現した感じです。もちろん、せーの録りじゃ再現できないギターの本数があるんですけど、最初それも忘れてたんですよ(笑)。エンジニアさんがミックスしてる時に、前の曲を聴きながら原曲を崩さないようにハモリとかチェックしていたら、ギターの波形が1、2本足りてないけど大丈夫ですか?って言われて「嘘!せーので完結しちゃってた!」ってなりました。足りない部分のフレーズを入れる入れないの相談をして、ここは無くてもいいんじゃないとかは省いているし、あった方がいいところは入れてます。

——では、アルバムタイトル『proof』に込めた意味は何でしょうか?
岩淵:タイトルを決めたのは、アルバムができあがって活動休止の発表の頃です。ファンの人には活休は終わりに近い意味に感じるかもしれないけど、終わるわけではないし音楽は残るし、いつまでもいるからねという気持ちや、今まで活動してきてライブに来てくれる人と一緒にいろんな変化をして10年やってこれたよ、ありがとうという意味も込めて「証」という意味の「proof」にしました。
——アルバムの中で1番好きな曲を教えてください
岩淵:リード曲「幽恋BEAT」ですね。この曲は声の重ねを意識して作りました。かなりリライトもしたし、これを作り上げた時「やり切った」って満足がいくくらい頑張った曲です。
——「幽恋BEAT」で特にこだわったポイントはどこですか?
岩淵:今のトレンドはインターネット的な要素が強いと思っていて、その中でも声の重ねがフィーチャーされてるなって感じています。MOSHIMOはライブを意識して曲を作っているので、三度のハモリを1パターン、ダブルで入れるぐらいなんです。サビも要素要素で入れるぐらいで、基本声の重ねがほぼない感じだったんです。今回は、いわゆる倍音感みたいなのを意識してハモリを3声で入れる部分を足し算引き算しながら作りました。 歌のプリプロだけで1曲に7~8時間はかかったかな。ほんとに疲れた(笑)。 そして、サビの歌詞はわざと畳みかけるように作ってます。その歌いまわしも意識しましたね。
——「幽恋BEAT」以外の推し曲は?
岩淵:「イタズラなキス」ですかね。これは自分が好きな漫画からインスピレーションを得て、好きな世界観や趣味を詰め込んで書いた楽曲です。
——今回のアルバムは過去曲を意識しましたか?
岩淵:過去曲というよりも今のトレンドだったり、それこそ「幽恋BEAT」や「綽々」は壮大な感じで声を重ねて作りました。今のトレンドを入れた現代っぽいMOSHIMOと、「イタズラなキス」や「イメチェン大作戦」のようなナチュラルでオーガニックなMOSHIMOをアルバムに入れてバランスを意識しながら作りました。
——楽曲を作る際に特に意識していることはありますか?
岩淵:ライブを通してどういう楽曲にしていくかを意識していると思います。「Day by day」はライブ活動休止を決めたあとに作った曲で、メッセージ性はあるけどバイバイさよならや悲しいねではなくみんなに置いていく、またライブで会える日があった時に歌うことをイメージして作りました。
——10年間、MOSHIMOとして活動をしてきて今でも記憶に残ってる出来事やライブはありますか?
岩淵:ROCK IN JAPANやCOUNTDOWN JAPAN に出演できたことは大きいですね。大きなフェスに出たいと思っていたのでちゃんと出れてたことは嬉しかったです。女性アーティストで登っていくのは大変なことでもあるし、最近はだいぶ変わったけど、コロナ前はバンドバブル期みたいな感じで男性ボーカルの中に1、2組女性ボーカルが入っていればいいって感じだったので、その中で一瞬戦えたのは自分の中で大きいです。なので、コロナ禍で出演が決まっていたのに2年連続でなくなった時はショックでした。嬉しいライブは、2019年の赤坂BLITZです。あのキャパでソールドしたのはやっぱり嬉しかったですね。
——MOSHIMOはライブでの熱いパフォーマンスやMCが魅力的ですがステージに立つ際に意識していることはありますか?
岩淵:ずっとネジをぶっ飛ばさないようにしてる(笑)。やりたい放題思ったことポンポン言うし「なんでダメんなんだよ!自由だろー!」って言ってるけど、来てくれる人やスタッフ、メンバーを傷つけないように喋んなきゃなって考えてます。でも、何箇所かあるMCの1箇所は誰のことも何も気にせず本音で喋るっていうのは意識しています。
——最後にひとりのアーティストとして、また事務所の代表として、今後の活動などお話できることをお聞かせください。
岩淵:音楽を止めないことですね。ライブ活動は止めるけど岩淵紗貴としては活動を続けていきます。音楽活動には、いろんな発信の仕方があると思っていて、音楽で生きているのはアーティストだけではないことを事務所をやっているからこそ感じるんです。本当はバンドだけで食べたかった作家さんとか、バンドをやっていたけどマネージャーに転身した人とか。アーティストを支えている人も含めて音楽と関わって生きるのはさまざまな生き方があると思っています。音楽に関わって生きて、所属アーティストをちゃんと売ることも大事で、会社を大きくするよりは、捻じ曲がった発信をしないようにスタッフとその土台作りをしていきたいです。

インタビュー&ライティング:渕上莉子・伊藤 緑
Profile
男女4ピースロックバンド2015年に「CHEESE CAKE」から「MOSHIMO」に改名し活動開始。複雑な恋心や乙女心をとポップでキャッチーに変換しパワフルなロックサウンドで表現している。全国各地で出演するサーキットイベントやフェスでは観客一体となって楽しめるライブパフォーマンスやMCでは大盛況。2025年9月25日にライブ活動無期限休止を発表し、2025年12月7日より活動休止前ラストライブを4箇所で行う。
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Release Information

『proof』
NOW ON SALE
【収録曲】
1.幽恋BEAT
2.綽々
3.パッパラパー
4.イメチェン大作戦
5. Real Game
6.飴と鞭
7.やぶさかじゃございません
8.イタズラなキス
9.Day by day
10.命短し恋せよ乙女
Live Information
10thANNIVERSARY TOUR
12/07(sun)
福岡LIVEHOUSE CB
12/14(sun)
名古屋 ell.SIZE
12/21(sun)
大阪 阿倍野ROCKTOWN
12/23(tue)
東京 ZeppShinjuku


