Interview

ミーマイナー

2025/08/06

自分自身の悩みや苦しみを

音楽にすることで少しでも消化しようとしている


——まず、バンド名ミーマイナーの由来を教えてください。

美咲:ミーマイナーは、“I, my, me, mine”みたいな“私”をあらわす言葉と、“メジャー、マイナー”っていう音楽的な対比をかけあわせた名前なんです。自分の明るい面(メジャー)だけじゃなく、暗い部分(マイナー)も含めて、自分という存在をそのまま表現したいなって。だから、“私のマイナーな部分”=ミーマイナーなんです。

さすけ: うんうん。みんな、普段は明るく振る舞ったり真面目に聞いているふりをしているけど、心の中ではいろんなこと考えていたりする。それって、表には見えないマイナーな部分だと思う。音楽って、そういうことこそ表現するべきなんじゃないかって。“me(私)”の“minor(影)”を表しているんです。

美咲:もう一つ意味があって、音楽のコードにEmやAmってあるじゃないですか? バンドって、いろんな楽器が合わさって一つの音楽になる。コードも1音だけじゃ成り立たなくて、3音が重なってやっと響きになる。そういう“1人じゃ成り立たない音楽”っていう意味も込めています。

——お二人の出会いは、どんな感じでしたか?

さすけ:2019年頃、美咲が前にいたグループに楽曲提供したのがきっかけでした。で、自分がボカロPとして活動を始めたのが2022年。そこでもフィーチャリングって形でコラボしたんですけど、反響がすごく良くて。「これいけるんじゃない?」って手応えがあったので、2024年9月から正式にバンドとして活動を始めました。

——ソロ活動からバンドになって、可能性はどう広がりましたか?

美咲:私は元々アコギの弾き語りで曲を作っていて、それが表現の全てだったんです。自分の曲が誰かに「いいね」と言われたこともなく、正直、手応えがないまま6年くらい作り続けていた感じでした。でも、さすけさんが編曲してくれてバンドアレンジになったことで、曲が全然違う形で生き始めたというか。ライブでも多くの人に聴いてもらえるようになって。一緒にやることで、自分の音楽の可能性が一気に広がったと感じています。尊敬できる相方が近くにいる中で、いろんな挑戦ができるのは本当にありがたいなって思います。

さすけ:僕はもう、この人に歌ってもらえること自体が大きなメリットかな、って(笑)。スター性のある声とビジュアルで、僕の音楽が形になる。とてもありがたいです。

——この7月8月と、2か月連続で配信シングルをリリースされました。まず、7月2日リリースの「足りないとこ」について教えてください!

美咲:「足りないとこ」は、まさに自分の内面をそのまま綴った曲なんです。“誰かに届けよう”とか、“いいこと言おう”と思って書いたのではなくて、自分自身の悩みや苦しみを音楽にすることで少しでも消化しようとしているところが大きいんです。今の自分の感情を、いちばんリアルに出せたと思っています。

——歌詞の“寂しそうな音”というフレーズが、とても印象的でした。

美咲:この“寂しそうな音”には2つの意味を込めてます。一つは、リュックに付けたキーホルダーが歩くたびにカンカンって鳴る音。つきあっている時は“お揃いだ”“今日もあの人のことを思い出すな”って愛おしく感じていたんですけど、別れてしまったら、同じ音なのに逆に寂しく感じられて。“もうその人はいないんだ”って現実を突きつけられるような感覚。

——切ない……。

美咲:二つ目は、 “寂しい”だけじゃなく、“錆びる”という意味もかけていて。キーホルダーが少しずつ錆びていくように、時間とともに変わっていく気持ちや関係性を。だから、“さみしい”じゃなく“さびしい”というニュアンスで歌っているんです。

——そして、カップリングの「夏時雨」は、さすけさんの作詞作曲ですね。

さすけ:男って、失恋して未練がましく嘆いていると、ちょっとキモいって思われがちじゃないですか? だからあえて女性目線の歌詞にしました。あと僕は、女性の未練や切なさを歌った昔の昭和歌謡や演歌の名曲に影響を受けているので、その感じも出ていると思います。


自分の失恋の感情は100%曲に反映しています

——8月6日に配信される新曲「のどあめ」は、優しい曲調でありながら歌詞には重さがあって、聴けば聴くほど引き込まれる中毒性のある一曲だと感じました。

美咲:この曲は、実際に熱を出していたときの実体験を元に書きました。体調が悪いときのぼんやりした空気感みたいなものが、音や詞に出ているんじゃないかなって思っています。あと、“2日間”とか“16時間”とか、“あなたが舐めていたのどあめ”とか、具体的な言葉を使うことで聴いてくれる人が情景をイメージしやすいように意識しました。

——2日と16時間……という歌詞の“16時間”には、どんな意味があるのでしょうか?

美咲:“2日前に別れました”よりも、“2日と16時間前に別れました”って言った方が、重みが増す気がして。時間まで細かく覚えていることで、別れてからずっとその人のことだけを考えていて、自分だけが時間に取り残されている感じが伝わるんじゃないか? って。

——たしかに! あと、歌詞に風邪って言葉が出てきますが、これは実際の風邪だけじゃなく恋の病という意味もあるんじゃないかなって思いました。

美咲:いい質問(笑)。たしかに、そういう風にも捉えられますね。実際は風邪をひいていた時に書いたんですが、恋も一種の病だと考えると面白いですね。

——7月8月にリリースされたカップリングを含めた4曲とも失恋がテーマのラブソングですが、ご自身の経験って、どの程度反映されているのでしょうか?

さすけ:お決まりの答えかもしれませんが、自分の失恋の感情は100%曲に反映しています。ただ、それを表現する言葉やストーリーは、フィクションや小説、いろんな影響を受けて作り上げている部分もありますね。


“どこで何をやるか”より

“誰とやるか”が一番大切

——この9月で、結成1周年。たくさんの楽曲をリリースしてライブでもどんどん注目を集めていって、そのスピードにびっくりしています。お二人にとって、どんな1年でしたか?

美咲:たしかにあっという間だったけど、すごく意味のある1年でした。私は中学生の頃から芸能活動をしていて、音楽も高校生からずっと一人で続けていたんです。こんなに長くやっても何も結果が出なくて、自分はもうダメな人間なのかな? って思った時期もあって。でも、この1年はその思いが覆されたというか……。

——美咲さんでもそんなことが……。

美咲:いろんなきっかけやタイミング、出会いが重なって、ほんとに人生って180度変わるんだなって実感しました。さらに、昔書いていた曲たちを今リリースして、たくさんの人に聴いて反響をもらえたことが、とても嬉しかったです。

さすけ:間違いないね。僕もボカロPとして出していた曲をミーマイナーとして演ってたりするけど、当時はあまり反応がなかった曲が、今こうして良い反響をもらえたりして。評価されなかったものでも、タイミングで全然変わるんだなって実感しました。

美咲:そうそう、ほんとにそう思う!

さすけ:結局、運なのかな?

美咲:うーん。誰とやるかって、すごく大きいなって思った。一人でやるよりも、誰かと一緒にやることで起きる化学反応ってあるんだな……って。相方が違ったら今のミーマイナーにはなってなかったと思うし、スタッフさんやサポートメンバーの誰か一人でも違っていたら、きっと今の形にはなってなかった。“どこで何をやるか”より、“誰とやるか”が一番大切だなって、強く思いました。

さすけ:ほんとそう! ソロでやっていた時って、それぞれ“美咲”と“さすけ”だったんだけど、今はサポートメンバーも含めて4人でステージに立って、ミーマイナーという新しい人格が生まれてる感じがするんだよね。

美咲:わかる! まさに、ミーマイナーって人格があるなって感覚になる!

さすけ:そんな変化にちょっと戸惑いながらも、ずっと嬉しい気持ちを持って活動できた9か月でした。

——これまでの一年の活動の中で、特に印象に残っている出来事を教えてください。

さすけ: 「ささくれハート」を作ったことが一番印象に残ってますね。この曲は自分にとって本当に特別な曲で、“これを人生最後の曲にしてもいい”って思えるくらいの気持ちで、歌詞に1〜2年かけて作ったんです。最初はボカロとして出したんですけどあまり反応がなくて、それがミーマイナーとして出したら、SNSで1万いいね位もらえて。 ライブで演奏していると、今は何100人が一緒に口ずさんでくれる。その光景を見るたび“何だこれ……やばい”って、毎回感動します。

美咲:私は、1st EPが完成して、その音源を初めて聴いたときが印象に残っています。 それまでは、ボイスメモに自分のギターと声を録音しているだけの状態だったのに、それがちゃんとバンドアレンジされて曲として世界中に配信されて、いいねって言ってくれる人がいる。最初に自分の音楽が世の中に出た瞬間が、一番感動的でした。

——9月19日には、結成1周年を記念して初のワンマンライブが開催されますよね。どんなライブにしようと考えていますか?

さすけ:僕らって、あんまりガチガチに何かを考えるやるタイプじゃなくて。だから、自然体で楽しくできたらそれが一番いいなって思っています。

美咲:そうだね。普段のライブって対バンが多いから、会場には私たちが目当てじゃない人もたくさんいるんですよね。 だから、どうやったら理解してもらえるかな? とか色々考えるんですけど、ワンマンは来てくれる人全員が私たちのことを知ってる状態で会場にいるっていうのが、まだちょっと想像できなくて。 それが今、すごく楽しみです!

さすけ: 1年間の歩みが伝わるようなセットリストや構成にして、観てくれる人にしっかり感動を届けられるようなライブにしたいです。

美咲:実は、1年前に同じ場所でライブデビューしているんですよね。そのときは、本当に誰一人としてミーマイナーの存在を知りませんでした。でも1年後、同じ場所に戻ってきたらソールドアウトで、みんなが私たちを待ってくれている。そんな状況を目の前にしたら、絶対に感動しちゃう。 想像するだけで、ちょっと泣きそうになります。


やりたいことを

やりたいタイミングでやらなきゃ後悔する

——では、パーソナルな質問もさせてください。 オフの日はどのように過ごしていますか?

美咲:んー。 私、暇なときはずっと曲を書いているんですよね。だから“オフ=曲作り”で、曲を書いている日はミーマイナーをやってる。結果、ずっとミーマイナーしているなっていう(笑)。

さすけ:うん、オフはミーマイナーだよね(笑)。

美咲:よくわかんなくなってくるよね。人生? みたいな(笑)。

さすけ: もはやオンがない(笑)。ずっと遊んでるだけの大人になってしまったんだなって(笑)。

美咲: でも、やりたいこと全部詰め込んでいるバンドだからこそ、何をやっていても楽しい。 自然体でいられるから、休むっていう感覚がないのかも。

さすけ: そうそう。サポートメンバーを誘ってスタジオ入っていた頃も、遊びみたいなノリだったし。 それが今もずっと続いている感覚ですね。

 ——すごく素敵な状況なのが伝わってきます!では、好きなアーティストを教えてください。

美咲:マカロニえんぴつさんが大好きです!  私もともと“雲グミ”って名前でTikTokにマカロニえんぴつさんの弾き語りをよく投稿していて、それがきっかけでギターも歌もすごく上達したし、名前も少しずつ知ってもらえて。その出会いにはすごく感謝していますし、音楽性にも影響を受けていると思います。

さすけ:僕は、テレサ・テンさんとか欧陽菲菲さん。1980年代あたりの日本の歌謡曲がすごく好きで、昭和歌謡から少しポップスに移行していったような、哀愁あるメロディに惹かれます。

——おすすめ楽曲も教えてください!

さすけ:欧陽菲菲さんの「ラブ・イズ・オーヴァー」、テレサ・テンさんの「時の流れに身をまかせ」が大好きです。あのバラードに漂う哀愁感は、ミーマイナーの楽曲にもどこかでにじませたいなって思っています。あの時代のメロディと詞の強さには惹かれるものがありますね。

——お互いをどんな人だと思っていますか? 相手の素敵なところを教えてください。

美咲: 音楽に対する姿勢とか、時間のかけ方、熱量や愛情が本当にすごい。ボカロって一人で全部の楽器を打ち込んで、編曲してすごく時間がかかるんですけど、それをずっと一人でやってきたという点で、もうほんとにすごい! 特に、歌詞のフレーズに対するこだわりだったり、執着心だったり。それって音楽を愛していないとできないし、誠実さがないと出せない部分だと思うんです。

さすけ:(にっこり)

美咲:あと、人って何か行動を起こす前に“どう思われるかな?”とか“失敗したらどうしよう”って考えちゃうと思うんです。 でもさすけさんは、そこをすごいスピードで超えてくる。その行動力と才能にすごく影響を受けているし、ミーマイナーがこのスピード感で動けているのも彼の行動力が大きいです。

さすけ:えーっと、僕がよく例えるのが、“ピッチャーで四番で応援団長”みたいな人なんですよ。 音楽の才能ももちろんすごくて、作詞作曲のセンスもある。それに加えて、ボーカルとしての見せ方やパフォーマンスの出し方も圧倒的で、いわば“大谷翔平みたいな二刀流”って感じなんです。

——ほんとに……!

さすけ:それだけでも十分すごいんですけど、さらに、メンバーやスタッフへの気配りや思いやりが本当に深いんです。誰かのテンションが下がっていたり空気が沈んでいたりすると、真っ先に引っ張ってくれるのも彼女です。そういう存在ってなかなかいないですよね? “なんだこの人、完璧すぎてどうしよう!?!?”って、ちょっと自分が惨めに感じちゃうくらいです(笑)。

美咲:つらっ(笑)。

——では、今後の目標や夢を教えてください。

美咲:私たちはミーマイナーを組むこと自体が当初の目標だったので、その先の目標って、あまり持ってなかったんです。曲を作って、それを誰かに届けたくて路上に立って。で、全力でやっていたら仲間が増えていって。ライブを重ねていくうちに会場もどんどん大きくなって、応援してくれる人も増えて。そんなふうに、目の前のことを一つずつ全力でやっていたら、いつの間にか今にたどり着いていた、という感じなんです。

さすけ:うんうん。

美咲:だからこそ、これからも遠すぎる目標に気を取られて足元を見失わないように、目の前のことを一つ一つ丁寧にやっていく。それが、今の私にとっての目標なのかもしれません。

さすけ:僕は、ミュージックステーションに出るのが一つの目標です。実は以前、ゴールデンボンバーさんの「Mステスーパーライブ」のアレンジ企画に2回ほど参加させてもらったことがあって。そのとき、ボーカルの鬼龍院翔さんから、出演者に配られるMステのティッシュや、Mステ用の消毒液をいただいたんです。それって、たぶん「次は自分の力でMステに出てこいよ!」っていうメッセージだったんじゃないかなと思ってて。だから、そこを目標に頑張りたいと思っています。

——最後に、学生や、この記事を読んでくれる皆さんに向けてメッセージをお願いします!

美咲:私は、大学4年生、周りのみんなが就職活動を始める時期にバンドを組みました。やりたいことを、やりたいタイミングでやらなきゃ後悔する……って思っていたので。最初は本当に、家族全員やまわりの友達から猛反対されました。それでも私は「全然いいです、それでも私はやります」と決めて実際に始めてみると、まさかこんなふうにうまく進んで。心からやりたいと思っていることって、その“想い”や“熱量”が自然と伝わって、思ってもいなかったことが新たに起こるんだという、素晴らしいことに気づけたんです。なので、やりたいけど迷ってるって人には、一度、何も考えずにやってみてほしいなと思います。

さすけ:いい話だなあ(笑)。僕からは、学生のみなさんには「自分の可能性を信じてあげてほしい」と伝えたいです。 社会人になって何年か経ち、学生時代の仲間のことを振り返ると、意外にも当時の姿勢のままの未来を歩んでる気がします。「俺なんてどうせダメだし…」と言っていた人は、本当に何もしていなかったり、逆に「絶対やってやる!」と空回りしていた人は、今も空回りしながらなんだかんだ大きなことをやっていたり。なので、ポジティブに自分を信じて、やりたいことにどんどんチャレンジしていってほしいです。応援しています!

インタビュー&ライティング:北 柚姫、仲野琴美、北西優芽

Profile

2024年9月、シンガーソングライターの美咲(TikTok:雲グミ)と、さすけ(ボカロP:もの憂げ)を中心に結成。始動2か月でツタロックDIG LIVEオーディションのグランプリを獲得し、国内の主要サーキットイベントに次々と出演。各SNSのフォロワー数もすぐさま1万人を突破し、結成1年を前に初のワンマンライブではソールドアウトに。いま注目を集める新星ロックバンド。

Release Information

「のどあめ」 2025.8.6 デジタル配信

7月に続き2か月連続で配信リリース。実体験をもとに綴られたラブソング「のどあめ」と、波の音が悲しくも優しく響く「もういいよ。」を収録。誰かの恋の始まりと終わりをそっとなぞるような、ミーマイナーというバンドの核にあるラブソングというテーマを、めいっぱい感じることができる2曲。


「あくまで生活」 2025.9.19 3rdEP

結成一周年、初ワンマンライブ当日に3枚目となるEPの発売が決定。
この1年を駆け抜けた、ミーマイナーの“いま”が詰まった最新作。

01.あくまで生活
02.足りないとこ
03.のどあめ
04.愛の排水口
05.夏時雨
06.もういいよ。
07.終わり

Live Information

2025.8.19 NEW GRAVITY~vol.9~
yogibo HOLY MOUNTAIN(大阪府)

2025.8.30 LXTOKYO  vol.2
TOKIO TOKYO(東京都)

2025.9.19 ミーマイナー1stONEMAN LIVE「ふたりよがり」
shibuya eggman(東京都)

2025.9.23 TOKYO CALLING 2025-10thAnniversary-
下北沢エリア(東京都)

2025.10.11 FM802 MINAMI WHEEL 2025
心斎橋ライブハウス21ヶ所(大阪府)

2025.11.24 歌舞伎町 MUSIC CHRONICILE 2025
Zeep Shinjuku他全10会場

編集後記

ミーマイナーのお二人の言葉からは、好きなことを全力でやるエネルギーと、“今を大事にする”ことの強さが、まっすぐに伝わってきました。華やかなステージの裏にある地道で誠実な積み重ねこそが、彼らの音楽に宿る説得力そのものなのかもしれません。このインタビューを通して、美咲さん、さすけさんの魅力や考え方が、読者の皆さんの背中を押すきっかけになれば嬉しいです。(北 柚姫)